『メイドインアビス』がおもしろい!重い!かわいい!エグい!

メイドインアビス つくしあきひと

ハラハラドキドキ、先の読めない緊張感だけでなく、ワクワクも含めた「高揚感」を抱きながらマンガを読むのもひさしぶり。前人未到の地の奥底を目指す、少年少女の冒険譚――いやあ、最高じゃないですか。

というわけで、つくしあきひと@tukushiAさんの『メイドインアビス』を読みました。

そのおもしろさと来たら、まずは試しに1巻だけ……のつもりが、思わず最新刊までポチって一気に読んでしまうほど。作りこまれた世界観に、作中で見え隠れする伏線が気になって仕方がない。今、特に今後の展開が楽しみな作品のひとつです。

 

母を探して20,000m

メイドインアビス つくしあきひと

『メイドインアビス』(1) 1話「大穴の街オース」P.32より

本作品の舞台は、巨大な縦穴「アビス」とそのすぐ側の街。

世界中が探索され尽くしたなか、いまだその全貌が明らかになっていない「穴」に挑む冒険者「探窟家」を目指す少女・リコと、彼女の目の前に突如として現れた記憶喪失のロボット・リグを中心とした物語。

表紙をパッと見たかぎりだと、「ファンタジー系の絵本かな?」と感じてもおかしくはなさそうなイラスト。ほんわかかわいらしい絵柄に加えて、緻密な背景絵に目が吸い寄せられます。

ところがどっこい。いざ本を開いて読み始めてみると、内容は想像以上に濃密です。常に生死の淵にあるという生々しさに、世界設定もなかなかにエグい。序盤で感じるワクワク感と、旅の道中でたびたび襲いかかる絶望感……そのギャップがたまらないんですよね。

メイドインアビス つくしあきひと

『メイドインアビス』(1) 5話「復活祭」P.111より

主人公のリコは、遙かなる深淵の世界「アビス」に憧れる元気っ娘。いち早く一人前になるべく励んでいたある日、記憶喪失のロボット少年・リグと出会う。

そこに、10年も前に「穴」の奥底へと潜り行方知れずだった、偉大な探窟家の母からの手紙が発見される。リコはお母さんと会うために、リグは自分の記憶を取り戻すために、2人で旅立つところまでがプロローグ。ドキドキワクワク、胸躍る冒険の始まりだー!

……なんて余裕はなく、この世界の冒険は過酷かつ致命的すぎるのですが。

 

「上昇負荷」という設定による制約と、世界観の構築

冒険の舞台となる「アビス」は、階層ごとに全く異なる環境・生態系が広がっているという、ある種の異世界です。

深く潜れば潜るほどに危険度は上昇。人智を超えた生物が徘徊し、出会っただけで致命的とされる存在たちに対して、いかに対処するかが探窟家には求められるわけです。

――とまあ、それだけならばまだ「難易度の高いダンジョン」に挑むようなRPGの感覚でもいられようもの。ところが、そうは問屋がおろしません。この「アビス」には特殊な “条件” が付与されており、それが本作特有の世界観を構築しているのです。

メイドインアビス つくしあきひと

『メイドインアビス』(1) 4話「ベルチェロ孤児院」P.71より

それが、作中で “アビスの呪い” と呼ばれる「上昇負荷」。一方通行的に、ただ下へ下へと潜っていくだけなら問題はありません。ですが、逆に上へと戻ろうとすると、途端に原因不明の “呪い” が振りかかるのです。

地上から見て浅い層であればちょっとした体調不良で済むものの、深く下がれば下がるほどに上昇するときの “負荷” は増大し、最悪の場合は死に至る。

――行きは良い良い、帰りは恐い。ちょっとしたダンジョンどころか、言うなれば「はじめから縛りプレイでラストダンジョンに挑む」ようなもの。つまり、アビスの深淵を目指すということは、文字どおり「地獄への片道切符」となっているわけです。

メイドインアビス つくしあきひと

『メイドインアビス』(2) 11話「火葬砲」P.57より

しかもこの “呪い” 、それこそRPGのように「前の階に戻ったらペナルティだゾ☆」などと生易しくはなく、アビス内で少しでも「相対的な位置が “上” になった」時点で発動するというエグいもの。

探窟中の行動を制限されるだけでなく、うっかりと少しでも “上” へと移動しようものなら、容赦なく上昇負荷が襲いかかり、それが致命的にもなりかねない環境下。そんななかでモンスターにも立ち向かわなければならないわけで……一口に言えば、むっちゃヤバい。

また、この「上昇負荷」は何も「ルール制限」的な要素として存在しているだけでもなく、それ自体が本作品の世界観と魅力、物語上の都合不都合を生み出している点もおもしろいんですよね。

“呪い” の性質上、深層六層以降に挑むことは、イコール「ヒトとして地上に戻れなくなる」ことを意味してします。でもそれゆえに、リコの母親も「旅に出て行方不明になった(=死んだ)」とは限らず、「地上には戻れないが、深淵で今も生きているかもしれない」ことを示唆しているわけです。

この「生きているかもしれない」という思いこそがリコの旅立ちの動機にもなっているし、地上にいる友人との「潜ったらもう帰れないかもしれない」「でも、きっとアビスの奥底で生き続けるから」というやり取りにも、絶妙な説得力が感じられるようになっている格好。

一歩通行ゆえの哀切が感じられ、それが、序盤にして作品の魅力を際立たせているように思えました。

 

奈落の底までお付き合いします

メイドインアビス つくしあきひと

『メイドインアビス』(3) 18話「深界三層大断層」P.30より

そんな『メイドインアビス』、1巻では街でちょこまかと動きまわる子供たちに癒やされていたと思ったら、2巻でアビスに入ると一転、死と隣り合わせの冒険にハラハラ&ドキドキ&ワクワクさせられます。

登場する生物は見るからに「異形」な存在が多いのですが、なんとなくモチーフがわかってしまうために、逆に生々しく感じられるのもイヤらしい。序盤では心強く感じられていたロボット・リグの存在も、それがチート的な強さではないとわかってからはドキドキしっぱなしでした。微妙にポンコツだし。

メイドインアビス つくしあきひと

『メイドインアビス』(2) 9話「深界一層アビスの淵」P.8より

そして、冒険モノと言えば「メシ」の要素も欠かせません。前途多難な道中で差し込まれる食事風景には、思わずほんわかほっこり。場面が変わればキャラクターも愛嬌満点、コメディっぽく描かれているため、ある意味ではホッと一息できる「日常パート」とも言えますね。

かわいらしくも緻密な絵柄。練りに練られたであろう世界観と生物設定。濃密に感じる物語も、実のところはサクサク展開。――かと思いきや、なかなかにハード……というかエグい話と描写も挿入されており、思っていた以上に “クる” ものがありました。3巻以降は辛い……苦しい……。

何はともあれ、まだまだ先の見えない冒険譚『メイドインアビス』。気になる細かな伏線にレグの出自などなど、これからの展開が楽しみなマンガです。個人的には全力でおすすめしたい作品のひとつなので、少しでも興味がありましたら、ぜひぜひ。

メイドインアビス つくしあきひと

『メイドインアビス』(1) 6話「予兆」P.116より

3巻登場の “もふもふ” も良いけれど、レグがかわいい……。

 

おすすめプラス+!

つくしあきひとさんの作品をもっと読んでみたい方には、pixivで無料公開されているオリジナルストーリー「スターストリングスより」もどうぞ!

関連サイト

© つくしあきひと/竹書房

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